今はもうない、夢の国からやってきた鮮やかな食器たち

ソビエト時代の鮮やかで、美しい食器から感じるストーリー

Written BY

Reiko

Room Euphoria Brand Owner / Yoga teacher /Yoga Nidra therapist /Aromatherapist / 京都芸術大学で空間デザインを勉強中

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March 19, 2021

「旧ソビエト連邦」というと、1991年に崩壊してしまった社会主義国の大国です。

今からちょうど30年前のこと。

「ソビエト」という響きから、どう言ったイメージを思い浮かべるでしょうか。

世代によっては、もしかしたら「え?そんな国、教科書上でしか見たことないけど?」

というくらいの遠い存在かもしれません。

その当時私はまだ子供でしたが、とても大きなニュースとして報じられてたのを覚えていますし、旧ソ連がまだ「ある」時代に生まれたので、なんとなくその国の様子を見聞きしてはいました。


テレビに映し出されるその様子は、食糧難に喘ぐ人々の姿や空っぽの商品棚。

崩壊直前のころでしたから、あまり良い印象は受けませんでした。

街の色は灰色で、寒そうで、みんな楽しくなさそうで。




ではなぜいきなり、今回旧ソビエトの食器を取り扱おうかと思ったのかというと

今はない、超強大かつ広大な社会主義国で
70年も前に製造された食器たちが
長い月日を経て、何かの縁があって
日本にいる私たちが手に取ることができる

という事実に、とてつもないロマンを感じてしまったからなのです。



厳密に言えば、最初からそう思っていたわけではありません。

アメリカやヨーロッパ、アジアを含め、世界中の器や茶器類を探していて、

「ピン!」ときてしまったのが、この旧ソ連産の食器だったのです。

旧ソビエトで作られた食器たち


とても質素な暮らしだったと想像していたのに、それとは裏腹に、鮮やかな色使いに金彩が施されたティーカップ。

当時の人々は、どんな思いでこれを作り、どんな気持ちでお茶を飲んでいたのだろう。


アメリカ的な「ザ・資本主義の賜物」というようなわかりやすさではなく、厳密に管理された社会主義社会の中での、パッと目を引くような煌びやかさ。


食料配給の列に並んでいた人たちは、このような華やかな茶器でお茶をいただくことで、暮らしの中に喜びを見出していたのだろうか___?




有名なヨーロッパの陶器ブランドといえばウェッジウッドやマイセン、アラビアなどがありますが、違います。そういうんじゃありません。



現在のウクライナ共和国にある

Baranovka(バラノフカ)という場所にあった工場で製造されたものです。

(聞いたことないですよね!私も今回初めて知りました笑)


なので、今回ウクライナにいらっしゃるセラーさんにコンタクトをとり、取り寄せました。

恐らく、日本国内で手に入れられることは、ほとんど無いのでは無いかと思います。


因みに、ソ連は解体されてから15の共和国に分裂しました。

ロシア連邦/ ウクライナ /ベラルーシ /モルドバ /エストニア /ラトビア /リトアニア /ジョージア /アルメニア /アゼルバイジャン /カザフスタン /キルギス /タジキスタン /トルクメニスタン /ウズベキスタン


私の生活の理想であるキルギスのユルタに加えて今回のウクライナ。東欧と言いますか、旧ソビエト連邦に何らかの縁を感じざるを得ません。


因みに、GoogleマップでBaranovka porcelain factory と調べるとちゃんと出てきますが、Permanently closedと表示されます。なんと切ないことか・・・。Baranivkaとも、書くらしいですね。



バラノフカで製造されたものに限らず、旧ソ連産の陶器に共通して言えるのですが、皆色使いが鮮やかでパッと目を引くような美しさです。金彩が施されたりもしています。



これらはそれぞれ、1950年代〜1970年代に製造されたものです。

もちろん、社会主義国ですから、国有の工場だったと思われます。


今から70年も前のソビエトの人々の生活なんて、想像がつくでしょうか?


私が幼い頃にニュースで見た、1980年代後半の崩壊寸前のソビエトではなく・・・


70年前のソ連の人々は、

平等で公平な、穏やかな生活を享受していたのでしょうか。

競争や格差とは無縁の、夢のように思えた国で私たちが想像もできないような暮らしをしていたのでしょうか。




旧ソ連では働く者皆に「ダーチャ」と呼ばれる別荘が与えられたと言います。

そんなダーチャで休暇中に優雅にティータイムを楽しむ。

そんなEuphoriaを、もしかしたら当時の人々は味わっていたのかもしれません。

私はこの食器たちを眺めていると、単純に美しいなと思うと同時に

切なさと、この食器たちがたどってきた運命にドラマを感じます。

ゆっくりとお茶を飲みながら

今はもうない夢の国でこのカップがたどってきたストーリーに想いを馳せる。

それもまた、私たちのEuphoria。




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