November 29, 2023
10月31日、Cafe Euphoriaでは
野点のイベントを開催いたしました。
もう11月に入ろうかというのに
とっても暑い日。
屋外でお茶を点てようと思っていたのに
急遽屋内に移動して
暑さを凌ぐという事態になりました。
とても和やかな、良い会でした。
一人ひとりが
お抹茶とお菓子と
ゆったりとした時間を楽しんでいました。
この日の主菓子は
桂離宮近くにお店を構える「中村軒」さんのもの。
写真の織部薯蕷と、栗餅を当日の朝、調達しに行きました。
お作法がわからなくても、
おもてなしの心と
それを受け取り、味わい、喜ぶ心があれば大丈夫。
「茶室」とは言い難い場所でしたが
私も久しぶりに着物を引っ張り出して
汗だくで着て。
お茶を口にして
「ああ、美味しい、、、」
としみじみと味わう感じ。
その時の幸福感。
それを皆さんと一緒に感じながら
私は昔のことを思い出しました。
・
娘が生まれた頃、私は北海道釧路市に住んでいて、
全く縁もない、知り合いも友達もいない土地で
24時間ワンオペで赤ちゃんのお世話をしていました。
愚痴や悩み事を聞いてくれる相手もいなくて
すごく心細くて孤独で
そんな時、妊娠前から通っていた茶道の先生が
「赤ちゃん連れてでもいいからお稽古においで」
と言ってくれたのです。
子供っていうか赤ちゃん連れだなんて
普通の茶道のお稽古だったら考えられないことです。
でも、先生がすごく配慮してくれて
お稽古にバウンサーを持って行って
一生懸命寝かせて。
どうしても寝ない時はおんぶしてお手前した。
重しを背負って正座とかいつの時代の拷問だよって
感じだけど、全く苦になりませんでした。
時にはお点前中、先生が抱っこしてくれたりもした。
週に一度、火曜日の午後のその時間が
楽しみで
ありがたくって。
で、 タイミングよく娘がスヤァっと寝てくれた時
先生が「さ、今のうちに、座ってお菓子いただきなさい!」
ってお客さんの席に座らせてくれて。
想像してみてください。
毎日24時間つきっきりで赤ちゃんのお世話をしている毎日の中
全てが整って、お花も掛け軸もきちんとしつらえられた
完全に調和した静かな空間で。
外からは鳥の声しか聞こえない。
目の前ではお湯が静かに沸く松風の音。
(お湯が沸く直前のシュンシュンする音が松に吹く風の音に聞こえるから松風という)
お茶碗にお湯を注ぐ音。
シャカシャカお茶を点てる音。
お釜からは湯気が立って
お香の香りがして
口に広がる美味しいお菓子
そしてその後にいただくお抹茶・・・
この空間、この時間がどれほど
私の心を癒し、励ましてくれたことか。
上の文面からお察しのとおり
私の生活はその頃から色々あって
それから今に至るまで
茶道の先生をはじめ
出会ったお友達や
その他たくさんの方々に
迷惑をかけ、お世話になり、相談にのってもらって
今元気に京都で生きることができています。
先生やその他の方々に直接恩をお返しすることは
今となってはできないんだけれど
私がすごくしんどい時に体験したような
心が救われるような
涙が自然に出てくるような
そんな空間を再現したいって思って
Room Euphoriaをやっているような気がしました。
私があの時感じたような
喜びや嬉しさ、優しさに満ちた
そんな空間を作っていきたいものです。