『ものを売る』ということは、『消費』について考えること

ものを売る立場になって、自分自身の消費生活についても深く考えることになりました。お店で扱っていきたいものの、基本方針です。

Written BY

Reiko

Room Euphoria Brand Owner / Yoga teacher /Yoga Nidra therapist /Aromatherapist / 京都芸術大学で空間デザインを勉強中

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March 10, 2021


「ECメディアを立ち上げよう」と思い立ってから、ものすごく『消費』について考えるようになりました。



独立してからは、無形の商品を扱ってきたので、『もの』を販売するのは実は新しい経験です。

(何年も前に子供服のネットショップを運営していたことはあるのですが)



そもそも、京都に移住するきっかけとなったのは昨年世界中を襲ったパンデミックも影響していて

『世界が止まることを余儀なくされた今、一旦立ち止まってこれからのことをじっくり考えよう』と思ったからでした。


それまでの、行き過ぎた資本主義。「もっと、もっと」と利益を追い求める姿やそのために生じた歪み。

それになんとなく嫌気がさしていて、それとは違う世界で生きたいと潜在的に思っていたのかもしれません。


NHKのBS1で毎年お正月に放送している「欲望の資本主義」という番組があります。

ここ数年間好きで見ているのですが、世界の様相がガラッと様変わりしているのを感じるし、今年の放送を見て、特に去年から更にその歪みが大きくなってきたように感じていました。

この番組は本当に面白いからオススメです)



私は通訳案内士としてちょっとだけ観光業界に身を置いていたのですが、近年のオーバーツーリズムによって色んなところが悲鳴をあげているのを見聞きしていました。

けれども、東京オリンピックはやってくるし、政府はさらに訪日外国人年間4000万人を目標に掲げているし…


それによって盛り上がるのはもちろんとても良いことだけど、果たしてそれは、正常な、正しい姿なのだろうか…?


と、内心感じていました。



そんな時に、世界の活動がストップした影響で、大気汚染が改善されたとか、河川の水質が良くなったという話も聞きました。


なんだか、とても皮肉だな、と思ったのです。


人間が活動を辞めると、地球が綺麗になるなんて。



とは言え、この現代社会に生きている限り、どうしても資本主義というシステムの中で生きて行くしか無く、それを避けようと思ったら山奥で自給自足の生活をするということになるし、それも全く現実的ではない。



あのパンデミックを経験したあと、いくつかのきっかけがあってなぜかものを販売する側に立つことになったのですが、私は


・ 多く作ってどんどん『消費』する

・ とりあえず安いものを買って使えなくなったらすぐ捨てる

・ それがどこからきているのか、何からできているのか、出自や素材にあまりに無頓着でいる

みたいな価値観とは違うところでやっていきたいと、思ったのです。



一年前までに見ていたあの『過剰』な世界に

自分は加わりたくない、飲み込まれたくない。





手元に、高校生の頃から使っているルイ・ヴィトンのキーケースとパスケースがあります。

使い込まれたキーケースとパスケース。


当時は、高校生でもこぞってハイブランドのバッグや小物を持つ、そんな時代でした。


どちらも確か姉がプレゼントしてくれたものですが、25年近く経った今も、ぼろぼろですが大活躍しています。

これからも、使えなくなるまでは買い換える予定もありません。


私はちょっとブランド物の価値を勘違いしていたのですが(もちろん素材や技術などにその価値があることはわかってはいたものの)

生きてきた時代的に、やはり少し『ステイタスをアピールする物』という認識がありました。

でもその本当の価値は「長く使える」ところにあるかもしれない、と

恥ずかしながらここにきてハッと気づいたのです。

誰もが高価なブランド品を買い漁るあの景色は過剰に見えたけど、それから25年も経っても使っていると言うことを考えれば、それは実はとてもエコな選択だったのかもしれない。




その点、スマホケースなどは数年で携帯を買い換えることを考えると

日常消耗品の部類に入るかもしれないし、3年以上も使うことなんて稀だと思います。


それならば少しでも手放した時に負担のないものを選ぼう、という気持ちです。

小麦からできたスマホケース



「丁寧な暮らしって、簡単じゃない」の記事にも書きましたが

本当の豊かさというのは日々の生活の中にあると思うし、それはものの所有の多少に関わらず、どれだけ好きなものに囲まれているか、身の回りに気をかけていられているかということなのだと思います。



自分がそういう意識なら、自分のお店にいい加減なものを置くわけにはいかない

自分がそういう消費の形を目指していて人にそうじゃないものを押し付けることはできない


だから取り扱うものは

より、人や環境に配慮されたものや

大切に受け継がれてきたもの

もしくは大切に受け継いでいきたいもの

そういう基準で選んでいこう、という方針に決めました。


先日モスで食べたプラントベースドバーガー。


そんなことに思いを巡らせていたら、私も自分でものを買う時、その意味や、買うという行為の向こう側にあるものや人のこと、使い終わった後のことについて、すごく考えるようになりました。

もちろん、全てをそうするわけには全然いきません。

例えばヘアクリップ一つ選ぶのに

「これはどこで生産されて、なんの素材でできていて・・・」

なんてこと考えてたら、買えるのは何ヶ月も先なので結局3COINSで購入してしまったり笑

取り扱うものも、「かわいい!」「これは推したい!」の気持ちだけで決めてしまうものも、あるかもしれません。

極端に偏ることは、結局あとで歪みを生むことになると思うので

お店も、自分も、ちょうど良いバランスを保っていけるところを見つけていければいいな

お店で扱う商品が手元に揃ってきたので

それらを眺めながら今、そんなことを考えています。


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